ニセ科学を切るニュース~科学の伝え方を考えてみる~

RSSリーダー通して拾ったニュースですが、かなり興味深い話だったので、ご紹介。

先日(18日)に、NHKで『視点・論点』という番組があったそうで、その中で大阪大学の菊地誠教授が、「まん延するニセ科学」という内容でお話していたそうです。

番組で例として取り上げられていたのは、以下の3点(「てくてく糸巻き」さんを参考にしました)。

  1. マイナスイオン
  2. ゲーム脳
  3. ありがとうの水

三つ目の「ありがとうの水」っていうのは、「結晶にどんな声をかけるかで、形が変わる」って感じの内容のもの。今日はこの例を中心に、自分なりの解釈を踏まえて一言。

大雑把に「正しさ」を検証。

おそらく、最も妥当と思われる結論は、「現時点では科学的見地からみたらでっち上げ。ただし、100%ウソというわけではない」という(どっちつかずのような)意見になると思います。「正しくはないけど間違いでもない」という、すっごく無茶苦茶な意見。では、なぜそう考えるか。

まず、「正しくない」という説明。これは簡単に言えますです。菊池教授が番組内でコメントしているとおり、「科学的には証明されていない」から。だからこれは現時点で、科学的には正しくない。終わり。

これが一つ目の見方。次、もう一つ。

「間違いとは言い切れない」という部分。「言葉が違う=音波の形が違う=結晶への影響がないとは言い切れない」という論理展開も、容易に否定できる事ではありません。厳密に検証すれば、正しさも出てくるのかもしれない。ただし、「このことは、科学的に正しさが証明された事ではない、まだ未検証な問題」。

はい、これで二つ目の部分も言えます。

簡単なまとめ

とりあえず、「科学的に正しい!」という結論は出てきませんでしたが(これも見方を頑張って変えたら、出てくるのかもしれませんけど)、2通りの見方を導くことはできました。

似たような具体例

「幽霊っていますか?」っていう質問に答えられないのも、これに近いです。

「いる!」と答えるなら、「じゃあ見せてみろ」といわれて反論できなくなる。「いない!」と言っても、「それは今の科学技術で見えないだけじゃないのか?」と言われて、反論できなくなる。

どうやって伝えていくか

今、実際に証明されたことは何なのか。それはどのくらいの精度で正確で、どのくらい視野を広げた結果なのか。正しいか誤りか、だけではなく、「こう考えたら正しくなるかも」「こう考えたら誤りになるかも」という、既存の枠組みを壊せるような意見も併せて出せたらベストなのかな、と思います。

こうやって考えていくと、「99.9%は仮説」っていう話にも近づいてきます。また、以前に書いた、科学技術インタープリターの話も、この問題には関わってくると思います。

ただ、何が「正しい」か、どこまでを「科学」と見るか、などと言い始めると、「そもそも科学って何よ(´・ω・`)」っていう事にまで問題が膨らんできて、哲学的なところに行ってしまいそうなので止めておきます。

参考資料

NHKのニュース番組で、特に記事になっているわけではないのですが…「ブログで情報収集!ブログ・ヘッドライン」さんのところで、このニュースに関する記事を書いたブログがいくつか集まっています。

おまけ

↑みたいにどっちつかずの意見って、ある意味「逃げ」になってるのも分かってはいます。でも、こういう専門的な内容が入ってくる場合、「何がどこまで分かっていて」「どこまでがあやふやで」「どこまでが未確認か」ということを、きっちりと区別できる人も重要なんですよね。

ブームを作って、それに便乗して一儲けしようとしている人にとっては迷惑な話なんでしょうけど^^;

おまけ2

最近、書籍紹介より面白い(?)ネタが多いので、「読了したけど未紹介」な本が増えてます。