Googleのもたらす創造的破壊( グーグルが日本を破壊する)
竹内一正さんの「グーグルが日本を破壊する」。
タイトルにある「破壊」とは、文字通りの意味というよりは「創造的破壊」、すなわちイノベーションと受け取った方がよいと思います。TVやCM、新聞等のメディアに与える影響から、日本が開発している検索システム「なずき」についてまで、広く扱った1冊です。
書きたい話題がいくつかありますが、今回2点に絞ります。
新聞とネット情報
まずは「新聞とネット情報」について。
日本でも「新s」のように新聞社がWebに力を入れ始めたのは分かりますが、その動きはまだまだ、です。本書に載っていた例えですが、『「官報」の上位下達的なイメージ』の日本と、『ホワイトハウスの「隠す」ことがニュースである』という米国と、ニュース情報に対するスタンスの違いが現れている証拠でしょう。
今後のニュースのあり方として本書で提案されている形式の1つは、「Webではごく普通のレベルのニュースを配信し、紙面ではより専門的な情報を出す」という、住み分けを行うモデル。
より高度な、専門誌的な情報誌を新聞社が発信してくれればよい、というわけです。…確かに、こういった新聞だったら読む気はおきそうな予感。Webで手に入らない情報・手に入りにくい情報だからこそ、お金を払ってでも手に入れたくなるわけですし。
情報検索の未来
もう1点はGoogleのキモというべき「検索」について。
Googleといえば「ページランク方式」ですが、それがどこまで有効か、というお話。ページランクの根底には、「優良なページは多くのリンクを張られているはずである」という考えがありますが、これはある意味正しく、ある意味で誤りです。それは、「どんなに良質で素晴らしいものでも、最初の1リンクをもらえなければ評価されない」という事実があるから。
もちろん、トラックバック機能などを使えばこちらからリンク生成をしてもらう事は可能ですが、それにも限度はあります。玉石混淆の中から、「玉かも知れない」というラベルをどうやって最初に付けるかが肝心。はてブやdiggのような(人力を使える)ソーシャル系サイトの力を借りれば少しは容易になりますが、Googleの持つ「検索技術」だけでうまくいくか、というと「?」マークがついてしまします。
また、日本で開発されている「なずき」は、「意味を解釈する検索エンジン」の例として取り上げられています。キーワードだけでなく、その組み合わせが持つ「意味」(単に「泣いた」とあっても、うれし泣きなのか本当に悲しいのか…とか、「ありがとうございます」が感謝なのか皮肉なのか、とか)までも検索できるようにならないと、生き残り続けるのが難しくなってくる…というわけです。
- 本当の意味で「良質なもの」をいかに探すか。
- ユーザーが検索する際に考えている「意味」をどう読みとるか。
この2つが今後の検索のカギとなりそうです。この分野に対してGoogleがどういった取り組みを見せるか、あるいは他の企業がどのように参入するか…注目ですね。
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関連ブログ
- グーグルが日本を破壊する / 竹内一正(by ビールを飲みながら考えてみた…)
- 書評以外に、関連記事が豊富。余裕があったら全部目を通してみるといいでしょう。
編集後記
最近はやたらと暑いですね〜。…これで半袖を着ようとすると、途端に寒くなったりするんですが(苦笑)。
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