14冊目:東大教授の通信簿
東大の中身、ちょっと覗いてみますか?
東大教授の通信簿―「授業評価」から見えてきた東京大学 石浦 章一 平凡社 2005-03 |
中身紹介といっても、講義で扱う内容について…とかではなく。
もうちょっと内部情勢というか、内輪ネタっぽい話。
以前から「教官逆評定」という、「学生の目から見た教官の評定」
というものは有志の方々によって作成・販売されていました。
(これは、もっぱら単位が取りやすいかどうか、
という観点から評価されていたような感じでした。)
で…ちょうど自分が入った年から…だったかな?
「学校主催の授業評価」という物が登場しました。
本書はそんな授業評価を通して、東京大学の内部事情
(学生のレベルとか教員のレベルとか色々)を分析してます。
さらに、法人化に伴って今後の課題などについても触れ、
「これから東大はどう歩んでいくべきか」という事を論じています。
東大の内部情勢をちょっと覗いた気分になれる1冊です。
…さて。
今回はちょっと批判的な意見をつらつらと述べさせてもらいます。
上で書いたとおり、
「東大内部事情の暴露本」とも言える(言い過ぎか?)この本の気になる点。
大学1,2年と身を置いていた教養学部に関するネタなので、
自分なりの意見も結構あります。
ですが…それがまた結構食い違ってるんですよ、この本での分析と(汗
もちろん、評価する学生、分析する教員、十人十色だろうし、
自分の意見が全て一致するとは思ってません。
ずれて当然といえば当然です。
ただ…少なくとも外部の人から見れば、
「東大生や東大教員ってこんな感じなのか~」
という指標にもなるんだろうし。
要するに、
下手をすると「東大生=○○」っていう固定観念を生みそうでちょっと不安…
というのが一つ。
もう一点。分析方法が甘い気がする。
例えば、「授業の予習復習をほとんどしない学生が44.4%」という所から、
「大学生ともあろうもの、自分から学習するのは当然のはずだ」と意見しています。
この意見そのものを真っ向から否定するつもりはありません。
わざわざ遊びに東大入る人は珍しいでしょうし^^;
ただ、この「44.4%」という数字だけで、
短絡的に判断しているとしたら、ちょっと気になります。
2つほど反論を挙げてみましょう。
・「簡単すぎたから授業中に理解した」 「既習内容だが、必修だから仕方なく取った」
という人もいるのではないか。 理系の数学などの必修講義でも、
教員によって講義レベルは様々。授業の難易度とのクロス集計などが欲しい。
(体験談:1年夏学期の数学試験は、高校レベルの問題が出ました。ヒント付きで。)
・別な項において、「テキストを解説するだけ、という教員もいるが、これはよくない」と述べている。
こういった講義によってやる気を失ってしまった現れ、とは考えられないか。
教員側に原因が無い、とも言い切れないのでは。
(体験談:シラバスと内容が全く違うのも、モチベーション下がります)
じっくり考えたら他にも出てきそうですが、とりあえずこの程度に。
ツッコミばかりしても仕方ないのでこのくらいにして、
この本を通して思うことをざっとまとめて終わりにします。
よい点:「授業アンケートを通し、内部を浮き彫りにする」という試みそのもの。
東大を「知ってもらう」という点で大いに役立つ。悪い点:評価方法がやや短絡的(に見えてしまう)。
アンケート集計・分析が困難なことは分かるが、もう少し根拠を固めて欲しい。
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