大学 知の工場

4532310180 大学 知の工場―ここから競争力が生まれる
日経産業新聞

日本経済新聞社 2002-11
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大学法人化前の2002年に出版された本ですが、書かれていることは今でもうなずける
事があります。…程よい「まとめ」的な部分が無いので、事例を並べ挙げただけに
なってしまってる感もありましたが。

読みながら感じた点としては、「学生」「大学」「企業」が求めているものが、うまく一致して
いないのではないか、という事。例えば学生としては、大学を就職のための通過点として
とらえている人もいる。また、受験競争が激化しているために、入試が終わって気力が抜けて
しまうケースも多い。このような状況では、学力低下が叫ばれるのも仕方が無いはずである。

大学側としては、「よい研究成果」を出すことが第一目標になりがち(極端に言えば、
資金を得ること、とも言えるかもしれないが)であり、その人材を集めるため、
知識詰め込みに近い形での講義をしていることも多い。また、特に理工系では、
いわゆる「理想論」での議論が主になっている事もある。

これに対して、企業に就職することを考えた場合、人と人との関わりも
問題となり、「実学」的なものをいかに使いこなせるかが重要になってしまう。
当然、大学で教えられる理論も基盤としては必要になるが、
知っていても結局は無意味になってしまうものも多々ある。

一言で「学力低下」が原因として、子供たちがもっと真剣に学べば全てうまくいく、
と考えてしまうのは、押し付けすぎのような気もします。確かに、「楽」を求めすぎる
事にも問題はあるかもしれないけれど、能力を過大評価しすぎる事も問題になって
いるのではないでしょうか。大学改革、という事も大切であるけれど、それ以前の
教育に対する意識の持ち方も重要であるように思えます。

話がなんかずれた気もしますが・・本日は以上。

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余談。

最近、学校の研究室から更新してる事も多いのですが・・・本を置き去りにしているため、
第二の書庫になる恐れが出てきました(苦笑