知的生活の方法

知的生活の方法
渡部 昇一

講談社 1976-01
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30年ほど前の本です。知的創造そのものに対するアドバイスの本(たとえば「考具」のような)
とは違って、さらにその前段階として、「心構え」についての本、と考えるといいかもです。

特に印象的だった物は次の二つ。
・「自分をごまかさない」こと。
あてずっぽうではなく、「分かった」という実感を大切にする。
・「見切り」をつけること。
すべてを完全に行うためには、時間がいくらあっても足りない。脱完璧主義。

二つめの「見切り」は、使い方を誤ってしまうと大きな損害があると思います。
この見切りは、自分にとって必要な物を集めるためのものであって、
ただ単になりふり構わず見切ればいい、という物でもありません。

自分の立場から言えば、数学は「使う」ための物であるから、専門家が
学ぶような厳密性までは触れる必要がないと思っています。けれど、
たとえば「微分方程式」とは「何のために」用いるのか、という問に対しては、
ツールとして使用する立場である以上、きちんと答えられるような学習が必要でしょう。

結局のところ、ここでも「目的意識」が大切になってくるのだと思います。
自分は今、何のために知識を得ようとしているのか。
詳細ではなく、エッセンスが重要なのか。理想論を求めるのか、応用性が必要なのか。
情報源は同じであっても、そこから得る知識は人それぞれ。
その人その人の目的によって異なってきます。あとは、それをどう生かすか。
それは読んだ人自信の課題でしょう。

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