54冊目:日本の科学/技術はどこへいくのか

科学技術の行く末を考える

4000263455 日本の科学/技術はどこへいくのか
中島 秀人

岩波書店 2006-01
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科学技術の転換期

本書が述べるメッセージは、大きく分けて2つ。

一つは、「科学/技術が転換期にある」ということ。
もう一つは、「既存科学論が、新しい科学技術社会論に対しての足かせにならないか」という危惧。

どちらも言えることは、科学が知的探求心を満たすだけの存在から、
社会技術、工学といった応用性を追求する存在へ変化したことが影響していることです。

この二つの観点に着目して、科学技術の変化、専門家と公衆の関わり方などを論じています。

参考文献も豊富に記されているため、興味があればさらに深く学ぶことも可能です。

専門家と公衆の対話を

本書では、公共性という観点から科学技術を見た場合、
社会的な合理性をどこに求めればいいのか、という事を指摘しています。

社会学者に頼ってしまうのでは、社会学という専門性のたこつぼに入ってしまう。
一方、一般大衆に求めようとしても、知識の有無や人数的な観点から困難になる。

結局の所、この辺に矛盾点が生じてしまうわけです。

医療関係なんかでも、専門家と一般市民、言い換えれば治療を施す側と受ける側で
考え方にズレが生じることはありますし。

専門家と一般大衆との意見交換の場を増やした上で、どこかで線引きをする、
ということが必要なのかも。

やや時間がかかる方法にはなりますが、短期間で片づけようとすると逆効果になりそうですし。

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