なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか:田坂広志さん新刊発売記念の講演会

紀伊國屋サザンシアターで行われた、田坂広志さんの新刊発売記念講演会に参加してきました。今回のお話は、最新刊である『なぜ、我々はマネジメントの道を歩むのか』に即した内容です。

細かい内容その他は、また後日書籍紹介と併せて行うとして…今回は講演の内容で特に心に残った部分などをまとめておこうかと思います。


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マネジャーの「重荷」とは

経営者やマネジャーという職では、その規模に関わらず、部下や社員の「人生」を預かるという責任がついてきます。これはもちろん、「食わせていく」という意味もありますが、その他に成長を支えるという事が出てきます。

例えば、部下が何かトラブった時、厳しく接するべきか、優しく接するべきか…。簡単な事ですが、これは答えのない問となって降りかかってきます。このような問に対し、その場面ごとに、相手の状況や性格なども踏まえた上で接し方を決断する必要が出てきます。

このあたりの問題は、つい先日にCLAでリーダーを経験した事を思い返すと身に染みて分かります。結果としてうまく接することができたか否かは別として、責任を持ってメンバーの人生を預かる、という体験をわずかながらでも経験をすることができたと思います。

3つの成長

上記に関連して、人間としての成長、すなわち「心の世界」が見えるようになるために必要な三つの理解。それぞれ、相手の気持ちが分かる、場の空気が読める、自分が見える、という物が挙げられていました。

特に三番目、「自分が見えているか」という点について。

河合隼雄さんの「自分に本当の自身がなければ謙虚になれない」「本当の強さを身につけていないと、感謝ができない」という言葉が、今までの自分のあり方を見つめ直すきっかけになったと思います。

他人から学ぶ:「反面教師」とは

書きたい事はまだまだありますが、今回はあと1点だけ。よく「反面教師」として、他人のよくないところから学ぼうとする事もありますが、その時の心構えについてです。

やや高みに立って裁くような態度を取るのではなく、「自分の中にも、あのような姿はある。あの人はその事を教えてくれた」というように、「他の人物の姿は、すべて、自分の中にもある」事を忘れないで接する事が重要、という事です。また、一方でその逆に、「相手の持つ素晴らしい点」というのもまた、自分の中にある、と考える事ができます。

結局、他人から学ぶと言うことは、「人間とはどんな生き方・どんな態度を持ちうるのか、自分の知らなかった側面を教えてもらう」という事になりそうです。プラスの面であろうとマイナスの面であろうと、このように「教わる」という態度を持っていれば、常に感謝の気持ちを持って接する事もできるようになるのでしょうね。まだまだ今の自分には難しいところが多いですが、少しずつでも成長していけるように頑張って行きたいです。

創造のタネ

河合隼雄さんの言葉に関連して。

高校時代の国語で読んだ、中島敦の『山月記』に、「臆病な自尊心」と「尊大な羞恥心」なんて言葉がありました。

山月記・李陵 他九篇

その時はあまり深く考えもしなかったのですが、、今になって思い返してみるとそれにも近い状態になっているのかな、と…。心に本当の「強さ」が無いと、ついつい逃げてしまいがちになりますよね。

自分の心と正面から向き合い、今の自分に何ができ、何が足りないのかをしっかり見つめる…まずはその部分をきちんと行えるようにしたい…そんなことを考えさせられた講演にもなりました。

編集後記

帰りの電車が、事故の影響で遅れてしまい…かなり時間がかかってしまいました。とは言え、その時間があったからこそ、この記事もじっくり考えて書くことができたわけで…。やっぱり、起きることには必然性があるんですね。