「表現の未来へ」シンポジウムに行ってきました

表現の未来

JSTの戦略的創造研究推進事業による「デジタルメディア作品の制作を支援する基盤技術」のシンポジウムが東大で開かれていたので、足を運んできました。タイトルは「表現の未来へ」。

自分の研究とは残念ながらちょっとずれていたのですが、簡単に紹介してみたいと思います。

※あくまで研究分野としては門外漢なコメントなので、本質とずれている可能性はあります。

特に興味を惹かれた所について簡単に…。

「意図的なランダムな行為」の創出方法の解明

意図的なランダムな行為」とは「ゆらぎ」的なもの。ある程度枠組みを決めた中で自由に動く、といったものをひっくるめて考えたもの、と言えばいいでしょうか。即興劇なんかはその最たるものでしょうね。

この研究では劇団の人の協力を得て、モーションキャプチャや音声記録を使った解析を行っています。結論部としては、発話タイミングに「2つの習熟段階」がある、としています。

まず、無秩序な段階から集団で規則的に発話するようになる「」の段階(第一段階)があります。時間などを計ってしっかりトレーニングした状態、でしょうね。その後、一度築き上げた秩序を意図的にずらす「」の段階(第二段階)が出てきます。「場の空気を読む」といった動きはここに含まれてきそうです。

情報デザインによる市民芸術創出プラットフォームの構築

表現が編みあがる社会」というキーワードを設定している研究。

市民が活発にメディア表現を行い、それをネットワーク化することでさらに創造的な物を生み出していこう、というもの。創造のスパイラルとでも言えるでしょうか?

既に市民参加のワークショップを通じた活動も行っているようで、今後が注目です。いわゆる「情報が溢れかえった状態」をどうにかする、という問題意識が根底にあり、国外との連携も計画されている研究となっています。

市民参加から「情報教育」といったところまで発展していくと面白そうですが。

創造のタネ

所感的に…「デジタルメディア作品」という区切りではありますが、ブログのような「文字情報中心」のメディアではなく、画像や音声、動画といったコンテンツに着目した研究となっているようです。

Flickr、Podcast、YouTubeにニコニコ動画と、これらのコンテンツを後押しするサービスも一般化していますし、この研究の方向性は理解できます。

ただ、一点気になるのは、「美しくするための技術」に偏らないだろうか…というところ。もちろん見た目の良さは大切ですが、最も重要なのは「作者がどのような思いでコンテンツを作り上げたか」、そして「その思いが受け手に伝わるかどうか」という2点だと思います。

単に「面白そうだから作ってみよう」と感じる人が増えていくと、結局は情報の洪水になるだけで、文字情報と違って検索が困難な分、余計に扱いづらくなるのでは…というのがちょっと危惧です。

マインドマップのような画像主体のものをデジタル世界で広めるには発展して欲しい分野ですが、研究のニーズとシーズ(求められているのか、やってみたいのか)がずれないようにという注意は必要そうですね。

編集後記

12月1日にCLA「自立」したビジネスパーソンになるための会計力セミナーをしていただける田中靖浩さん。(会場決定です:渋谷のT’s東宝ビル別館、平野さんのセミナーでいつもお邪魔してるところ。)

ご自身のブログにて、一夜づけでどこまで数字に強くなれるのか、という「大人の一夜漬け講座」の宣伝が書かれていました。…出たい(笑)。