サービスサイエンス:「サービス」を「科学」する?
RSSリーダーに登録してあるSciencePortalで「【2008年1月15日 サービス科学の必要性 】」という記事が出ていました。今の研究に少し関連する内容ですし、SC活動の一環として、たまにはこんな話題も取り上げてみます。…少しは研究ネタも出しておかないと、本業サボってると思われそうですし(苦笑)。
まだまだ僕も学んでいる途中なのですが、こんな研究分野もあるんだ〜、って感じで読んでもらえれば幸いです。
サービスサイエンス?
「サービスサイエンス」、あんまりなじみのない言葉かもしれません。この言葉自体、誕生してまだ間もないので無理もないと思います。
実際にどんなものか、というのは、「サービス」と「サイエンス」、二つの言葉の特徴を考えてみると分かります。
サービス
前半の「サービス」というのは、一般的な市場におけるサービス。流通業、セミナー…まあ、世の中サービスだらけですので、対象はだいたい何でもOKです。このような業界の特徴として、経験や勘などのいわゆる暗黙知が用いられる事が多い、という点が挙げられます。
言い換えれば、再現性が難しい。市場の環境も刻一刻と変化しているので、困難なのは当然なのですが…技術革新、イノベーションがなかなか発生しない(ベンチャーが失敗しやすいのも?)という原因にもなっています。
サイエンス
一方の科学。別に小難しい数式を並べてどうのこうの言うつもりはありません。ここで言う科学とは、「再現性のあるように」「法則性を見出して」「体系化する」といった特徴を満たすもの、くらいにとらえておけばOKです。
数式がよく使われるのも、「数式で示せる=再現性があり、法則としてまとめやすい」といった特徴があるからでしょうね。(言い換えれば、理論が本当にしっかり通っていれば、数式が無くても科学にはなります。…大変だけど。)
サービスサイエンス
上記二つをくっつけると、こんな感じの定義になります。
- サービスサイエンス
- これまで暗黙知が多く用いられてきたサービス業界において、その仕組みの法則性を見出し、体系化することで形式知化を目指すもの。
かなり短くまとめてますが、だいたいの雰囲気はつかめるかと思います。
例えばどんなところで使えるか
頭に思いつくままに書いてみると、
- イノベーションの方向性を定める(上でも触れましたが)
- より顧客のニーズに合ったものを生み出せる
- 時代背景の変化があっても、とるべき手段に迷わなくなる
などなど。それぞれの業界に絞り込んで考えていけば、適用できそうな部分は無数に出てくるかと思います。
言うは易く…
[tegaki]そんなに便利なら、さっさとやればいいじゃん[/tegaki]
…その通りですが、それが難しいのが現状。
サービスサイエンスと一般のサイエンス、最大の違いは「人」が大きく関わる事です。しかも、1人や2人ではなく、「市場」という集団が関わってきます。これを理論的にどう扱うことができるのか、が一番の壁。シミュレーションするにもモデル化が難しい、実験なんぞできるものでもない(というか、それは現状と一緒)。
実際の研究においても、個別分野ごとの研究で手一杯、一般論には踏み込めず…というのが現状です。
サービス工学
サービスサイエンス以外に「サービス工学」というものもあります。最後にこの話を簡単に。
サービス工学では、主に「サービス設計の支援」を行うことを目的に掲げます。あるいは、モデル化の手法を考えるのもこの部分。実際にサービスを運営していく中での手助けになるような部分に重きを置くわけです。
例えば「アンケートの分析」を例にとってみます。
サービスサイエンスの立場から言えば「顧客とはA、B、Cという3つのタイプが存在するものである」とあらかじめ分類方法を定義しておくもの。社会の風潮が変わっても平気なように、サービスをできるだけ普遍的に、体系的に分類したものがサービスサイエンス。
一方のサービス工学では、「アンケートの内容から、今回の顧客はa、b、cという3つのタイプがあるようだ」とモデルを自分で作る立場。このモデル作成をどう進めるか(項目の組み合わせ方とか)の手助けになるのがサービス工学、というわけです。
以上、かけ足で見てきましたがいかがでしたでしょうか。
これからは「文系」「理系」といった既成概念を越えて、新しい学問領域も増えてくるかと思います。サービスサイエンス、サービス工学もその一端になっているのでしょうね。
編集後記
SCといえば、国立科学博物館でのサイエンスコミュニケータ養成実践講座、無事に後半も受けることが決定しました。2,3月もスケジュールきつそ〜…。でも頑張る(`・ω・´)
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